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囲碁道場 初級講座対局 白Kさん五段 vs. 黒斉藤三段(2004年9月14日) 中押勝ち
斉「黒8はソッポでしょうか? あと白9以降黒24までの解説を お願いします」 近「黒6、8はソッポといえばソッポ でしょうが、大場を占有する立 派な手。 ソッポというよりは左下隅の黒 を斉藤さんが軽く見てこれに白 が手をかけているうちに黒が足 早に大場を占有する、一つの序 盤の有力な作戦、とも言えそう です。 そういう作戦、と考えた場合に 、黒4で一度左下を大きくして から軽く見ている、作戦の矛盾 を感じます。黒6,8と黒4に作 戦の一貫性を感じないのです。 だから上記の作戦を考えている のなら黒4で黒6に先着したい。 左下を白に両カカリされたら 中央へコスむ、あるいは更に手 向きして上辺星を足早に占有す る、などです。 白9からの手段もいわゆる常套 手段なのですが、左下を軽く見 、スピードを重視したはずの黒 6,8に対し、黒10以降の手段は あまりに重く、やはり作戦の矛 盾を感じます。 黒6、8で大場を占め、左下は星 の黒石ひとつも相手にはやらな い、なんという欲張りな…とい う気がします。 白9に対しての以下の黒の受け はあまりにおとなしく、こんな に左下が大切ならはじめの白5 にちゃんと左下に何か手を入れ ておけばいいのに、と思ってし まいました。 そうですね。正着かどうかは分 かりませんが、白9ならば僕は 黒10で12に押して中央に顔を出 したい気がします。 星の黒石は小さく捨てるのもよ いのではないかと…。 白9に黒10とツイだあとに封鎖 された場合の後日物語もあるの ですが、まあそれは碁会所でま たぼちぼちと…。 黒24までが悪いとだけは言って おきます」 斉「白35に対する黒36はどうでしょ うか? 白35が逃げ出した場合、右の白 厚みをなんとか消せないかと考 え打った手です」 近「黒36はよくある相手を攻める手 です。白35に対して黒の悪手は 右辺を守ろうと受ける手になる と思います。 白37に対しての黒38はいささか 気にいらないですね。 白39までとなったところが、黒 が2目の頭を白にタタかれた格 好になっています。 黒40とキッても、白35自体は軽 く、白41にはねられると黒は窮 屈。 白49まで白にうまくやられてい ます。白35もまだ活力を持って います。 では黒38ではどうすれば。。。 例えば相手に調子を与えないよ うにR-10へじっくり鉄柱に下が っておくのも一つでしょう。 あと読みがしっかり入っていれ ば、黒38で白39のところへ、次 に白が38とキるので、黒Q-8へ アテ、白R-9に逃げ、黒R-10へ ソう、激しいいきかたもあるで しょう。 黒56、58と石が重複して黒44が ダブッている気がしませんか? 黒44でせめてQ-12あたりに守り 、右辺白の生きを催促したいの です。 黒44は悪手でしょう、きっと」 斉「黒60からはヤキモチでしょうか ? 白57と打たれ白地が増えるのが イヤで打ちました」 近「仕方ないのではないでしょうか 。そうでも打たねば右辺と左下 でやられていますので、地合い を数えてみればわかると思うの ですが、左辺を大きく白に盛り 上げられては黒楽敗でしょう。 でも白の方もやはり接近戦は弱 いみたいですね。 白63あたりから次第にひどくな ってます。白63は普通C-11へヒ くくらいのものでしょう。 黒68はノータイムですね。 もっと考えて打つべきです。 白57、73の2子が切り離されま したね。なんだか訳が分からな くなってきました。 白63のブツカリの罪の深さです 。黒82のあと、この形を見て次 の白83でH-17が斉藤さんは直感 的にみえますか? 手筋に長じた方であれば、うま くいくかどうか別にして、この キリコミが瞬間に見えると思い ます。黒の形が崩れます。黒の 応手次第では黒80の石が抜けて 白は連絡形になりますよ。 あと細かいところの説明は省き 、白105はL-13に打てば黒3子は 取れています。 白109でもL-12に打てば黒4子が 抜けます。 こんな手筋も読めないようでは 五段とは言えませんね。 こんな手くらい、考えて搾り出 すものでなく、ノータイムで手 がいって欲しい。 一局を最後まで経験とカンのみ で打ち、思考という行為を一切 行わない我ら東海中央支部の藤 原七段はこのあたり、ノータイ ムで手がいくはずです。 このあたりの細かい折衝をいろ いろやってますと、黒の問題点 も出てくるのですが、長くなる ので興味ありましたら碁会所で 。 斉藤さんの布石にはまだ作戦の 一貫性というものがないですね 。あと斉藤さんには右辺の白を もっと上手く攻めて欲しいので す。せめて、白を楽に生かさな いように白41や45のところは打 たれないようにしたいです。 このあたり、斉藤さんの甘さ、 ぬるさが顔を出し、これらの要 因で左下、右辺で失敗、白57あ たりまでとりあえず白ペースに なりました。しかし、白は以後 がまったく五段失格の着手が続 き結局黒に負けた、そういう碁 でしょう。 また今回のコメントでは手筋的 な面にも触れましたが、月刊「 碁ワールド」とその付録の小冊 子が碁の勉強に心憎いほどに役 にたつのです。 この小冊子、バカにできない。 寝そべって気軽に解いてみる、 毎月緩急自在に手筋、布石とい ろいろ品を変えて問題を出して くる。毎月ごろごろ寝そべって 解き続ける、一つの冊子を2度3 度繰り返しやってみる。 これの繰り返しだけでも相当に 手筋に強くなってしまいますよ 、たぶん。 たった1万円で1年日本棋院の会 員になるだけで、いちいち店に 行かなくても内容が濃い碁ワー ルドと付録の小冊子が年に12回 も勝手に送られてくる。 日本棋院、こんなんでほんとに 儲かるのか、野菜のたたきうり を見ると農家がかわいそうに思 えるときがあるのですが、それ と同じ感覚で日本棋院がかわい そうになります。 こんな上質な教材があるのに、 これを有効活用している人って どのくらいいるんだろう、もっ たいない話です。 ま、多くの人たちがこういうも ったいないことやってくれるか ら、僕みたいな平凡なアマ碁打 ちでも知多半島の強豪みたいな 顔していられるわけで…」