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囲碁道場 初めての囲碁 加藤慎一編(2001年11月13日) 21目勝ち
第三段です。 斉「今回は終盤にまたもや白のミスに より黒勝ちとなりますが、やはり 前回近藤六段が指摘したように布 石が問題かなと思います。 まず黒8ですがやっと巡ってきた先 手が中途半端な気がします。 ここは左右どちらかに三連星と僕 は行きたいですね。あとは黒18で すね。相手の石につけると相手は 強くなるので、僕はこの手は絶対 に打ちません。最後は黒20を助け ようとした黒26に僕は疑問をもち ますが、近藤六段どうですか?」 近「白7までは加藤さんがしっかりガー ドを固くして打ってますね。 黒8は確かに中途半端な手ですよね 、と感覚的な言われ方をしても、 加藤さんにはわかりづらいかもし れませんね。この手がボケている のは白3,5,7となっている白石がほ ぼ生き型だからなんです。 相手の生きている石の近くという のは、布石においては小さい手な んです。 白3,5,7はすなわち比較的固い石 。その石に近寄ってる手なので、 黒8は悪いのです。 こういった考え方、まだ初心者の 加藤さんには難しいかもしれませ んが、布石における一つの考え方 なんですよ。覚えておいて下さい 。 黒8については左右どちらかに三 連星…という斉藤さんの考え方に はちょっと同調しかねます。なぜ なら、黒2,4とケイマに受けた手か ら近いからです。 例えば(ここの説明は加藤さんには ちょっと難しい)手割的発想で、右 辺2連星から一手かけて3連星布陣 を黒が敷いたあとで白が白1のよう にケイマにカカってきたときに黒 は2のようにケイマには受けません 。位が低いからです。 たぶん、黒2の左に高く受けるか、 上辺星などにはさんでいくと思わ れます。 (ここから加藤さん、読んでくだ さい)黒8としては、上辺白が黒に ちょっかいをかけたまま手抜きし ているので、ここをとがめてやり たい気がします。すなわち、白1の 右に打って(白1にコスミツケて… なんて言います)、白が白1の下に 打つのが通常ですので、そうして (白を重くしておいてから)上辺星 に加藤さんがどかんと打つ。 こうして白1の石を攻めて、序盤の 主導権を握るのがよいように思い ます。あと黒18ですか…。好手と いう気は確かにしないのですが、 どう打ったらいいんでしょうね。 白17をはさんでみても、白11が援 軍として控えているからいまいち 気乗りしませんし、白17の左にツ ケていくのも…これといったいい 手が思い浮かばないんですよね。 結局、右下は白7,11,17と囲まれて 、黒もあまり威張れるスタイルで ないので、白17に黒18とうけて、 白19ときたあとで、黒は15-17の位 置にでもがっちり生き形にしてお いて不安をなくしておく打ち方も あるのかもしれないです。 白を固めるが、黒も弱いため止む を得ず、の考え方なのですが…。 黒20は悪手ですね。ここに打つく らいなら黒22の位置にはじめから だまって受けておくのがずっとい いと思います。黒26も悪手。既に 固い石にへばりついている用無し の黒20は捨てて別の方面に向かう のがよいでしょう。 斉「今回白の5、13、31のすべてに三3 で答えていますが、黒32では白9を 挟んだら面白かったのではないで すか?」 近「黒32で3-8の位置に打って白9をは さみ、白3-3、黒3-5、白2-5...と 白を左上に押し込む手法ですね。 ひとつの行き方でしょうね。 左上から伸びる黒模様を形成し白 の侵入を迎え撃つ。天元の黒石が 光ってきますね」 斉「白37に対して黒38と守るのですが 、ここは白35の頭ではないですか ?黒30は取られるのですが、白(黒 30の下)→黒38→白取り(黒30の右 )というように先手が取れる時は 、手を抜いても構わないですよね 」 近「もともと黒36自体が悪手で、ここ は白13の右に押さえて右上隅を確 保したい。黒36のあともし白18-8 、黒18-7、白16-8アタリ、黒17-7 ツギ…となると、ほら、黒が前こ こで言った「あき三角」の悪形に なってしまいます。 だまって白35の左に打たれるだけ でも黒36は固い白石にぶつかって いった悪手…ということになりま す。 しかし、黒36に対して白は生意気 にも手抜きしたのです!斉藤さん の言うとおり、黒35の上にはねる …ひとつの行き方かもしれません ね。黒20、26、28の黒3子が動き出 せる可能性もあり、そうなると右 下の白はちょっと薄くなる」 斉「白から51、55,59と打たれて特に弱 い白はなくなりました。最初に置 いた5子のハンディはどこに?って 感じです」 近「確かに。 白51、55と両方白から打たれたの は大きいし、黒38,54,58の受け方 も損です。受けるのなら例えば黒 54でも黒52の上に堅ツギが正しい のですよ。黒50はダメをつめただ けの悪手。受けるなら黒13-18あた りに受けるのが良いでしょう」 斉「黒80で盤面の黒石は全てつながり ました。確かに基本は1)石の連絡 、2)中央へ、3)地を作るですが、 1)石の連絡は生きている石と生き ている石を連絡させても仕方ない 。また相手の生きている石と生き ている石を切断しても仕方ないで す。加藤君の棋譜をここまで見て いると、やみくもに連絡している ような気がします」 近「そうですね。ここは私のコメント は必要ないようです」 斉「今回は攻め合いがない碁で、淡々 と進みます。そして勝ちを決めた 黒220となります。これは『ダメ がつまったら気をつけろ』の見本 でした。しかし、すぐに黒224はい らないです。黒128を継いだ方が得 でした」 近「白(コンピュータ)がボケてました よね。がっちり取られていれば、 この碁は負けていました」 斉「次回までに加藤君に個人的なレッ スンを少々してみたいと思ってい ます。近藤六段、今度の加藤君の 棋譜に期待していてください」 近「加藤さんは回数を重ねる毎に少し づつよくなっているような気はし ます。しかし、初心者にいきなり 19路盤での対局はちょっとしんど い。まだまだ分からないことだら けだと思いますが、仕方ないと思 います。囲碁の入門書をよく読ん で、対局を重ねるうちに慣れてき ますよ」