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囲碁教室 鵜飼八段 vs. 斉藤二段(2004年2月3日) 20目負け
斉「今回は毎日アマ本因坊名古屋市 2位の鵜飼君が相手でした。 ちなみに1位は森君です。 70手ぐらいしか覚えられなく て、「どうしてこれで負けるの ?」って言われるかもしれませ ん」 近「そうは思いませんでしたが… 6子もの差がある相手です。 この局面で私が白を持ったら 『中央しのぎさえすれば勝負か な』って感じです」 斉「最初に迷ったのは黒16です。 よく出てくるこのような場面は やはり定石をしっかりと覚える べきでしょうね」 近「ちょっとその前に…。 黒4はもちろん第一級の大場な のですが、上辺M-17にツメるの も厳しいと思います。 次にH-17打ち込みなどを狙って 、『食らいつく』感じです。 上辺でなく下辺黒4と先着した 石をどう生かすかですが…。 白7カカリに対して黒8受けでは さすがに甘いでしょう。白7に対 して黒は左下隅星と黒4とで既に ハサんでいる形。白7には強い姿 勢で望みたいところ。 よくあるE-3ツケなんかどうです か? その後白がF-4に打つのを待ち、 黒8の地点に一間トビ、です。 黒10、私からみると甘い手なの ですが、中央志向の斉藤さんら しさの出た独特の手と思います 。そこでようやく黒16…。 ノータイムでR-4押え、でしょう 。白O-5、黒P-5、白P-4のデギリ がこわい…それには黒S-4サガリ で十分。つぎに黒O-4アテ、黒R-7 キリが見合いです。 実戦の黒16は甘すぎで、こういっ た着手で上手は斉藤さんの力を計 ってしまうでしょう。 以下白37までよくも悪くも黒・斉 藤さんの方針一貫した中央志向が 続きますが」 斉「次の迷ったのが黒38。 相手の石を良い形にしてしまうか なと思ったのですが・・・」 近「今打つ必要もないでしょう。 あとで何かあったときのコウ材に なるのですから。 どうせなら何も打たずにだまって 黒42、でいいのではないですか? 」 斉「最後は中央の3子を上手に攻める ことが出来なくて負けました。 鵜飼君は『ここでのぞかれると困 りましたよ』と言っていました。 ここまでで、今日も勝って連勝記 録は伸びると思っていたのですが 」 近「黒48、ぬるさの極です。 もはやK-11ノゾキ、私にはこれし か思い浮かびません。 白K-12とツガせて白を重くし、黒 K-9あたりに打つ。これで中央か ら下辺にかけて自然と黒地がつい てくるでしょう」 斉「そんなに悪くないですよね? しかし何故か鵜飼君には勝てませ ん」 近「互戦でこの局面なら、黒が十分有 望でしょう。ただ、これは6子局 です。 黒8、48など『相手の石を重くし て攻める』ことが実戦では出来ず にここまできたわけで、そういう 流れですと中央白3子の攻めもお ぼつかないと予想されます。 実際そうなったわけですが。私が 白を持ってこの局面を迎えたとし ても、それまでの黒の甘い着手を 見て『いける』と感じると思いま す。 『相手の石を重くして攻める』 これ重要です」