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囲碁道場 初級講座対局 Mさん三段 vs. 斉藤二段(2003年9月9日) 中押勝ち
斉「今回は少し2手ほど順番が間違っ ているかもしれません。 その手は後に指摘します。 ではまた相変わらずの三連星スタ ートで始まります。 黒19までは定石通りです。 ここで白20ときました。 以前、近藤六段に指摘された時感 じたのですが、『相手が定石通り に打ってこない場合につけこむ隙 があるんじゃないか』と それで、通常白の定石とされてい るところへ黒21といきました」 近「白20で上辺を手厚く押さえてると 、黒にC-10あたりにワリウチを 先着されそうで、そうなると上辺 の白のカベが生かしにくく白が甘 くなりそう。 で、白は三連星に構えたわけです が、それなら、と黒21。理解でき る進行です。 白22ではF-16にツケこし、黒G-16 、白G-15、黒E-16、白E-15、黒F- 17ヌキ、白F-14と黒を止めること も可能でしょう」 斉「黒25は迷ったところで、黒23から 一間飛ぶと、左辺に白地が出来て しまうんじゃないかと思い、ここ へ打ち込みました」 近「黒25、斉藤さんらしからぬ厳しい 打ち込みですね。白26のツケは本 来なら定型でしょうが、この碁形 では黒25を封鎖して厚みをこさえ たところでその厚みは生きている 黒石21、23のために全く働きませ ん。で白は苦肉の策で白30、32と 地に走る打ち方をしているのでし ょうが、黒33と裂かれた形は白が 無残です。 こんな進行になるくらいなら白22 ではたとえ上辺の地を黒にかすら れても上記のように封鎖して模様 で勝負の形のほうが堂々としてい たように思えます」 斉「今回うまくいったと思えたのは相 手の手に答えて、相手の石を切断 するところに打てたところです。 生きている石と生きている石を切 断しても仕方はないのですが・・・ この黒39、黒67などがそうです」 近「黒67など、気持ちのいい手ですね 。相手を裂いていく手は相手が薄 くなるので後々効果が現れます。 黒69なども平凡ながら落ち着いた 好手で、上下の白を睨んでいます 。白は真綿で首を絞められるよう です。 白70あたりまで地では白 がそこそこ打てていても黒が全局 的に厚く、黒優位と見ます。 これを黒が地合の有利に持ってい くためには上下の白をうまく攻め る必要があります。 白は白32と打つ手がまず打つ気の しない手ですね。白32から連なる 白石は厚みというより生きている 黒石(黒33と裂いている黒石のこ とです)にへばりつくカス石のイ メージが強い。 また、白48、58などが黒49、61な どに行かせることで相対的に右下 に打っていった白46、52が弱くな っています」 斉「黒67からのキリはあとの楽しみに 残して、まずは黒71から打ちまし た」 近「黒71ではM-14ハサミツケ…なんて 手も有力で、全体の白を攻めるこ とが出来ます。 まともに攻めれば、この白の大石 はかなり危ないです」 斉「しかし黒87が消極的かなと今は思 います。ただその時はP11のノゾ キがいやだったので打ったと思い ます」 近「その前に黒83が大甘です。 黒75に石が来たのに白76などと三 々に打つ余裕などあるはずもなく 、黒83では例えばK-9にノゾき、 白がツゲばM-12あたりには迫る。 白がL-13に受けようものなら黒は K-14の急所に打って、上辺白はほ ぼ脈がない。 黒87はむしろ止むを得なく、斉藤 さんの気にするP-11ノゾキが気持 ちわるいですからね。 上辺白への攻めで黒はほとんど利 得を図れず失敗しました」 斉「右上と中央をどうしてよいかわか らず、左白に侵入したのですが」 近「黒89は侵入とは言いません」 斉「このような局面では三々から入っ た方が良いのでしょうか?」 近「いきなり三々に入る前にK-7あた りに打って白の出方を見たいです ね。ここをとりあえず形を決めて 、決まった形を見て打ち方を考え ればいいのです」 斉「ここでの黒95、白96がこの時に打 たれたかどうかわからない手です 」 近「ならばここのコメントは差し控え ましょう」 斉「黒107はどちらからあたりにしよ うか迷ったのですが、とりあえず 切断を狙ってこちらから当りをし ました。 ただ途中で気が付くのですが、黒 101に当りして白は1目できるの ですね。 気がつくまで、黒を今から攻めて ゆきます(笑)」 近「ま、大した問題ではないでしょう ね。所詮、後手1眼です。 ちなみに黒119が大悪手で、N-6に 打たねばなりません。 きっと、手が滑ったのでしょう」 斉「黒123でやっと気がつきました」 近「それより不思議なのは、なぜ右下 隅黒とのカラミ攻めにしないのか ということです。 単純に早くS-4にサガっておくだ けでも右辺から中央に伸びる白の 大石への圧力になっています。 このサガリがあれば黒はS-7へ置 く手がある、即ち黒125などいら ずとも右辺で白は眼が出来ないん です」 斉「白124は1目作った手だと思って いたのですが・・・ なんと白126で絶対絶命です。 黒129、131の手にも相手は冷静で した。 ここでは相手のミス待ちといった いけない展開です。 しかし、黒131はつぐのを期待し たのですが・・・、ついだら当りを かけて、黒125につながると思っ たのですが甘かったです」 近「これは黒ひどい。 上下白に簡単にしのがれた上にほ とんど儲けてもおらず、黒139ま ででは既に形勢はっきり白よしで す」 斉「最後のもう一仕掛け、黒137、139 です。ここの黒139は連絡をふさ いだ手だと思ってくれたようで、 白はソッポで140と打ってくれま した。ここから黒161まで白の大 石を取って勝ちました」 近「白140の致命的な白のソッポでも う白に勝機はありません。 黒147など実に冷静な手で、こん な手が打てるのならなぜもっと上 下の白を攻めれなかったのか、と 思います」 斉「いつもと同じような展開ですかね ?」 近「今回はやや異なります。 序盤から中盤に至るまではむしろ 黒に楽しみの多い碁形で、ただ、 薄いのに白が地で頑張っているの で黒は上下白をうまく攻めて利得 を図らねばならない、にもかかわ らず、全てしのがれた上に左白も いっぱいに止められ、他の箇所で も攻めることによる黒地の増加は ほとんどなく、形勢を損ねた、そ こへ白140のソッポのために勝ち を拾った、そんな碁だったと思い ます。 いかにして攻めそこなったかは上 述のとおりですので、斉藤さん、 また検討してみてください」