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囲碁道場 初級講座対局 斉藤二段 vs. Kさん初段(2003年8月19日) 30目勝ち
斉「今回は白を持ちました。 白では序盤はいつも相手に流れを 任せて打つようにしています。盤 面上がどのようになるかは相手次 第となります。 今回はちょっと覚えるのに難しい 碁だったので、細かい所は、若干 本当とは違っているかもしれませ ん。 最初に感じたのですが、K初段は 低く打つのにかつ、模様を作ろう としていたところです」 近「黒3は相手の受け方を先に見よう とした手で、ちょっとはやってる ようです。 穏やかに白4と受けたため、黒は 上辺をミニ中国流に構えました。 白10はやや変則的であり、黒5-E にツケ越された時の対策を用意し ておかねばなりません。 白4-E、黒4-D、白6-Eカカエ、黒5 -Cアテ、白5-Fヌキ、黒6-C、では 白10がポンヌキにだぶっており、 白が良くないとされます。黒4-D と切られたとき白5-Cあるいは6-D と打つか、いずれにしても打ち方 が難しくなります。 それにしても、黒11ツケ、黒15な ど、黒は両方打とうと欲張ってま すね」 斉「最初に迷った白18。 これは左の石と白16を連絡するた めに打ちました。 左下の黒が6-Bへと出てくるも期 待したのですが、甘かったでしょ うか?」 近「私は実は白16で4-Dと差し込んで みたいんですよ。黒が3-Cとツゲ ば白3-Eと打つ、黒が3-Eとノビ込 めば白3-Cと切り込んで形を決め る(以下黒3-B、白2-C、黒2-B、白 4-B切り込み、黒5-B、白6-B、黒4 -Aヌキ、黒3-F、といった具合で) 白9-Cといった飛び込みも残りま す。ちなみに実戦で黒はやはり斉 藤さんの言うとおり6-Bではない ですかね。 すると白は4-Hあたりに打たざる を得なくなりますが、何やら白が ダメ場を打ってるようでさえない 感じなんです。白18はどうなんで すかね。左下隅黒を封鎖しかつ白 16と連絡してる感じで、悪くはな いようなのですが。黒17、19は全 く無意味な着手と思えます」 斉「その次に迷ったのが黒27に対する 白28です。 上から押さえようかと思ったので すが、白6と白24の隙間が少し気 になったので下から受けました」 近「白24がそもそも黒25のハシリを許 し右辺白を半ば楽にさせた意味で やや甘い。 やはり白5-Rとツケておきたいの ですが…。ただ実戦も白7-Rとツ ケる味が残っています。 問題はやはり白28で、なんという 気合の悪さ… 死んでも白5-Lとタ タきたい。 実戦のような下受けでは白24が泣 いてますよ。白33で4-Oに来られ たら白はどうするつもりでした? 白50までで、黒に横着な着手がい くつもあるのに白は言われるがま まに受けてますので形勢は既に黒 が面白い」 斉「黒51はちょっとやりすぎと思い、 上辺黒を攻める意味でも白54と押 さえました。黒65に対しては白66 から何とかなるかと思い白64と伸 びました。 展開通りに進み、白74で切れたと 思ったのですが黒75とのぞかれて 、僕の予定通りには進みませんで した」 近「黒51はもはや暴挙の極みです。 私なら頭に血がのぼって、上辺黒 の全滅を狙います。 これだけリードしていてまだやる か、という感じです。白54は当然 です。白62は17-Mあたりで強襲し てはどうでしょうか。実戦はうま く生きられた上に黒77と幸便に守 られて相変わらず黒ペース」 斉「白90で二目を取ったのは大きく、 これでなんとかなるかと思いまし た。しかし、白94は小さいですよ ね。ここではどの辺りが良かった のでしょうか?」 近「実は白78で序盤黒が横着な打ち方 をした左下隅黒を先にいじめてみ たいんです。 ここの形の決まりようによっては 黒79の点にまで白が踏み込めます 。実戦は黒85などという打ち方が 最悪だったため白が望外の結果で した。 白94では、そうですね、7-Mあた りですかね。中央を黒に先に囲わ れると白は勝てません。 ちなみに黒95も意味不明の手。 もう黒さんも打ち方が分からなく なってテキトーに打ってるんでし ょう」 斉「白110で白100を守ってから白112 。これで三目か右上のどちらかは は取れたと思ったのですが、うま く生きられました」 近「そりゃそうでしょう。白122で16- Rに打てば死んでるじゃないです か。なんか、ひどいですねえ」 斉「コウ材でも作ろうかと思った白 132のうそのような手から・・・」 近「コウって、どこをコウにするつも りなのですか?単純に損してます 。白140のあと、単純に黒6-Tと打 てば、白が9-Tに打っても黒12-T と打つことで両コウになり、白取 られです。それで中央もどさくさ にまぎれて囲ってしまった黒の勝 勢です」 斉「(黒141が僕にとっては援護のよう な)、白147で黒73を取って、 黒151、153ときたときに勝てると 確信しました」 近「このあたりの黒の打ち方はもはや ぼろぼろで、さしもの優勢もさす がに吹っ飛びました。『こういう 打ち方しかできないから初段で打 ってるんだ!』と反論されればそ れまでなのですが…。 もったいないですね」 斉「K初段は左辺がセキになると勘違 いされたようで、ここで、仮にセ キになっても白良しと思い、白 168で三目を助け、白170で2-Gを 防ぎました。 そのまま進み30目勝ちです。 今回はなかなかじゃないですか? やはり三連星が僕を苦しめている のでしょうか?」 近「なかなか??? そんな…。馬場九 段に教わったはずの中央志向と攻 めの精神はすっかり影をひそめ、 形勢は実に150手前後になるまで 全く白に傾かない、白の出来の悪 い碁だったと私は思います。 形が込み合ったところで相手が勝 手に崩れてくれるので碁は勝って ますが、それではやがて止まって しまいます。 白の斉藤さんにはもっと『相手を 攻める』ということを念頭に打っ て欲しいですね。 相手が薄く打っているところはあ とから攻めて、利得を得る。反発 すべきところは反発する。特に斉 藤さんのように実利志向が強くな い打ち方をするのならなおさらで す。でないと、地合で遅れてしま ってそのまま負けになりますよ。 次回の囲碁教室ではがんばってく ださい」 斉「ありがとうございました。 指摘通り最近は勝つことは勝って いるのですが、最終的に相手のミ スで大石を取って勝たせてもらっ ています。 ずっと消化不良の状態です。 なお、この棋譜は一週間遅れて記 載していますので、『また同じミ スをやって』と怒らないで下さい 。がんばります」