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囲碁道場 初級講座対局 Hさん三段 vs. 斉藤二段(2003年8月12日) 中押勝ち
斉「今日から僕の囲碁教室での棋譜の 解説をお願いします。僕の定番で ある三連星でのスタートです。 まず、黒19で17の横に打たずに白 の中央へ打った手。これについて はどうでしょうか?」 近「やはり薄い打ち方かもしれません が、黒43の手が残っているので黒 19に先着した実戦も悪くないよう な気が個人的にはします」 斉「後から、マズイかと思った黒25。 これはしっかりと押さえとくべき だったでしょうか?」 近「黒25は手が滑ったのかと思いまし た。当然白26の点に抑えなくては 黒5の石が泣いています。 黒23でも黒20の上にツケる手がわ かりやすかったかもしれませんね 。どう打つにせよ、この碁では右 辺を大事にしたいのです。 白34あたりまで、明らかに白の流 れがいいですね。黒を持つ気がし ないです。そうなったのはやはり 右上の方向違いの着手によります 。 白44は黒53の点につないでおきた い。三々入りは黒51の点に打たれ てからでいいのでは…」 斉「黒51。これは白6から下につなが るぞと下がられると何か危険を感 じたので打ちました」 近「この黒51は足が遅すぎます。どう せ打つなら黒53に打ちたい。右下 黒が心配、という心理が働いたわ けですが、黒53のあと白2-O、黒 1-P、白51となったあと、黒7-Nと でも打ち、白6を含む白石全体を 大きく攻めればいいのです。 黒5の石も生きてきます。 白54は不要な手であり、やきもち もはなはだしいです。黒55の点が すそあきですし。 黒もここらで例えば上辺17-Fあた りにヒラきたい(次に17-Cツケの 狙いが残る)。 白54の石は放っておいて、白22の 右下カドあたりに打って右上白を くすぐっておくくらいで十分でし ょう。 あえて実戦黒55のように強引に切 断していかなくても。黒5の石が 大きく取り込まれる、ということ だけなければいいでしょうから」 斉「黒71を打つ時に白72辺りと迷った のですが・・・」 近「黒71自体はそう悪い手には見えま せん。白44、54の悪手もあり、黒 71、73によりまだ黒が悪いながら も下辺から右辺へ伸びる黒模様が 大きくなってきました。 しかし上述のように上辺を急がな かったため、やはり白72は好点。 まだ形勢は白よし。 白78のキリは無謀な気がしますし 、白104とはまた驚くべき手で、 黒105の点に棒ツギしなかったこ とが後に左下黒143の三々入りを 誘発することになるのです。 棒ツギしておけば、左辺の黒の形 からして左下三々打ち込みの余裕 はなく、打ち込んで白の外周が固 まれば左辺黒は即死です」 斉「黒115から中央の白への攻めのま ずさったらないですよね。この白 が生きてからはもうどうしようっ て感じでした」 近「でもこの白をいじめるのは難しそ うですね。上辺の黒が不安定です から。取れないこともないんでし ょうが、黒91右の点が残っている ので、攻めがきかないんです。 黒143は最後の勝負手ですが、こ れを殺しにいくのはやっかいそう 。 白としては恐らく黒143のあと、 白2-D、黒2-C、白2-E、黒5-B、 白6-B、黒4-B、白6-Cツギ、黒2-A と黒を生かした後、白6-Gと白70 の石を助け左辺の黒の生きを催促 したあとで、黒6-Lとハネ上げて 黒107、109、111の三子をもぎ取 るという流れが最善のようで、こ れで形勢は盤面15目以上白が勝て るようです」 斉「またもや相手の大石を取らないと 勝てない碁でした。特に前半の解 説をよろしくお願いします」 近「黒147以降の黒の打ち方はなかな かのもので見事に白を撃沈させま した。力碁の打ち手がやたら多い 東海中央支部で打っている影響? ですかねえ。 しかし、右上黒25、あと右下の黒 51などの足の遅さなどで、布石で 黒はすっかり遅れてしまいました 。 しかし、白もそれからの打ち方は 分からない様子でリードを守れな かった、そんな碁のような気がし ます。 黒が序盤悪くしたのはだいたい上 述の指摘内容に集約されるように 思います。 三連星って、やはり難しいですね 。最近はプロの間では研究しつく されており、ほとんど打たれない し、勝率もよくないとか」 斉「ありがとうございました」