この画面を閉じる
囲碁道場 初めての囲碁 加藤慎一編(2002年4月3日) 56目負け
斉「久しぶりの加藤君の碁です。 今日は2子で対戦してもらってい ます。 まずさっそくですが、黒14は白13 を止めて連絡させない事です。 自分の石は連絡し、相手の石は連 絡させないことが大事だと思いま す」 近「黒10のトビが変ですね。その一路 左に打っておけば十分。 なぜなら、白13に黒14は本来上下 の白を連絡させない手を打たねば ならないのですが、実は黒10のト ビのせいで、白13に対して黒は白 の連絡を妨げることができなくな っているからです。 たとえば白13の下に黒14と打って 上下白の連絡を絶とうとしますと 。白はただちに3-13にキリ、黒が 2-11に打って白13の石を取ろうと しますと白は5-12に打ってきます 。黒は白13の石を取れても白は外 回りで連絡してしまい、黒10の石 が逆に分断されて腐ってしまいま す。黒10を黒8のすぐ右に打って おけばこんなことはありません。 斉藤さんの指摘どおり上下の白を 分断して黒の有利な序盤戦になり ます。 実戦は黒10とトンでしまったため に白13に対しては黒14のカケツギ が止むを得なくなっています」 斉「黒22はちょっとという感じがしま す。黒20を打ったなら白を隅に閉 じ込めて欲しかったです」 近「この局面ですと黒20は白21の点に 受けておくくらいが普通と思われ ます。ただ黒20の無い手ではなく 、黒22で15-3に打ち白15-2に受け 、黒14-4に打てば斉藤さんの言う とおり白を封鎖できます。黒20の 手は白の封鎖を前提にして打つの が懸命と思われます。この封鎖の 手順は以前にも加藤さんに説明し ましたね。 以前の私のコメントを読みながら 盤に並べて研究してみてください 。黒22の手は中央志向の強い斉藤 さんの感覚には全くない手でしょ うね」 斉「黒32、34は四線で良いのでしょう か?僕なら三線に打つのですが。 近藤六段どうでしょうか?」 近「確かにどちらも打つなら3線です ね。黒34は3線に打てば右上の黒の 一団が根拠を持って安定します。 実戦のように4線では白に18-9あた りにケイマにすべられて右上の黒 が根拠を失い攻められてしまいま す。黒32は本来はこの付近そのも のに打ちたくないんですよね。 つまりですね、右下白は白31を中 心にして下辺には白1、右辺には 白33と、2辺にまたがって展開して います。こういうのを俗に「両翼 を張る」なんて言い方しますが、 両翼を張られるとそこは立体的に なり大きな陣地になりやすいので それを妨げるのがよいとされます 。つまり黒32は右辺に打ってやり たい気がするわけですよ。だから 黒32はズバリ17-10あたりに打って やりたいわけです。こう打てば白 の「両翼を張る」妨げになる一方 、右上黒の一団も根拠を得ること が出来る。 つまりこの17-10の地点はこの碁に おいてお互いに非常に重要な地点 、つまり一種の必争点になってい るわけです」 斉「黒54では、黒48と50のキズを守っ た方が良くありませんか? キズ(つながっていないナナメの 部分)は気をつけてください」 近「そうですね。そもそも黒50のよう にむやみにトブのはよくないです 。実戦では黒50は白51の点に打っ ていれば十分。トブのは足が速い 点では有利ですが、相手からのキ リなどがないか、ちゃんと読んで から打たなくてはだめです。 結果的に実戦でも白103とキラれて 黒4子が取られました。 あ、あと黒60では13-5の地点に打 ってがっちり右上黒と上辺黒3子と を握手させるべき。 黒62では左上黒がちょっと弱くな ってきているので3-2にがっちり受 けておくのが手堅い」 斉「黒92では黒10の右に打って、白89 から出てくるのを防いだ方が良く ないですか?」 近「そのとおり」 斉「黒122は小さいですね。この黒はず っとつながっていて死ぬことはあ りません。また白も死ぬことはあ りません。 まだ盤上には二線、三線と寄せる ところは残っています」 近「加藤さんのヨセは私は普段あまり 口を出していませんが、実はその 多くが悪手です。 私も級の方などと置き碁を打った りしますが、碁形にもよりますが ヨセだけで20目差くらいは軽くひ っくりかえせます。コンピュータ のヨセも見るに耐えないので、ヨ セのコメントをはじめるとたぶん コメント書くだけで一日かかって しまうでしょう。 いつも序盤のコメントをメインに やっているゆえんです。序盤はそ の碁の骨組みですからね」 斉「黒176以下は無理ですね。 あと細かいことを言えば、黒212 ではその左できっちりつなぐ方が 良いです。 そこは最後は掛け目で地にはなり ません。 この1局の敗戦原因は、白103で黒 石が取られたことですね。 今日は久しぶりに加藤さんが負け たのですが、どうでしょうか?」 近「そうですね。白103で黒4子が分断 され、白107に先着されることで 右下から連なる白地は65目ほども あります。これでは勝てません。 ここで碁が終わってますね。 加藤さんについては仕事が多忙で 碁がなかなか打てていないという ことのようですね。 まあ、我々3人とも同じような感 じですねえ。時間がなくて碁が打 てていないのではなかなか強くは なれない。なんか仕方ないような 気もしますが…。 加藤さんには過去、自身が打った 碁を私のコメントを酒の肴にでも して並べなおしてみるといいと思 います。 序盤数十手だけで十分。過去の私 らのコメントの中にはキーになる 考え方が既に多数入っていますよ 」 斉「では加藤さん、次回も二子で挑戦 して下さい。よろしくお願いしま す」