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囲碁道場 初めての囲碁 加藤慎一編(2002年1月31日) 20目勝ち
斉「初めて4子で打った碁です。 このコンピュータは完全にいかれ ていると思います。近藤六段今日 は切れないでお願いします まず白15、29、39全てシチョウで 取っています。 良くやったというか白がお粗末と いうか・・・」 近「白9に対しての黒10から黒18まで の手段は以前ここで話したことが あります。このような打ち方は右 上の黒ががっちりとして、白を隅 に封鎖して黒の「壁」が出来てい る様子がイメージできますよね。 こうやって壁を作っておいて、右 辺に「黒の大地を作るぞ、それが 嫌なら入って来い」という、いわ ば”黒模様”を形成しようという 意図なのです。そして白が殴りこ んできたらそれを攻めて利得を得 る。黒18までの打ち方をするから にはそういう方針が加藤さんにな ければなりません。 序盤にはいろいろな打ち方があり 、それぞれに意味があります。 それがわかってくるようになりま すと、囲碁が楽しくなってくると 思います。 こういう考え方からいきますと、 白19は17-11あたりに2間ヒラキ( 白5から2間あけた17-11の点に打 つのでこう呼びます)にするのが 好手になります。なぜならこう打 つことにより白5、17の白石が安 定し攻められにくい石となり、そ れと同時に右上黒の壁の威力を消 して黒の右辺の大地形成の可能性 を減じているからです。 従って実戦の白19に対しても左上 は手抜きして黒20は17-11あたり 打ち白をハサんで(黒20と右下星 の黒石とで白5の石をはさんでい るのでそう呼びます)白を攻める のが一つの好手になるように思い ます。 相手がある程度力があれば、白19 は17-11あたりに先着するでしょ う。そうなると右上の黒の打ち方 は白に右上に陣地を与え、かつそ の代償として白を攻める、という こともできない。つまり右上の黒 の打ち方は失敗、ということにな ります。このような打ち方が出来 るのは右辺星付近にあらかじめ黒 石がある時に選択すべきだと思う のです。加藤さん、わかりますで しょうか? 白9に対しては黒11と受け、白が 11-3にヒラく、これが右上隅の黒 地を大事にする意図では最もポピ ュラーな打ち方となります。 あと、黒34、これは好手です。 コンピュータ君の間の抜けた白3 3のヒラき過ぎの3間ヒラキを即 座にとがめています」 斉「ただ白43に対しての黒44ですが、 白43、45となって、白29はシチョ ウで取れているのでしょうか? 近藤六段、ここまで読みきる必要 はあるのですか?」 近「白45となった時点では白29はシチ ョウでは取れなくなっています。 黒18までの打ち方をこの碁で加藤 さんは実に3箇所で採用していま すが、こういう打ち方を選択する 以上は、シチョウは常に読んでお かねばならないです。 黒46では白29の白石をがっちり取 っておかなくてはなりません」 斉「白61は何考えているのかわかりま せん」 近「そうですねえ。白33、43のヒラき 過ぎといい、白61と、わざわざシ チョウを逃げ出した白3子をむざ むざ捨ててしまうコンピュータ君 が5級に認定されてしまうのでは、 東海囲碁サロンの4,5級クラスの 人は怒ってしまうでしょうねえ」 斉「あと黒68と出たのなら、白59と69 の間で切って欲しかったですよね 」 近「そのとおりですね。 黒70では1手遊んでしまいました。 それとも、黒70は弱いコンピュー タ君相手にまじめに4子で打っては 楽勝と考えた加藤さんが碁を面白 くするために打った手だったりし て…。 黒64は当然の1手とはいえ、左辺白 と右辺とが握手するのを防いだ好 手でした」 斉「黒74は白65の頭に打った方が良い 。どこに自分の地を作るか構想を 考えながら打つと理解出来るかも しれません」 近「黒74は恐らく盤中で最大でしょう ね」 斉「あとは無難に打っている気がしま すが、黒102などは「音がする方に 打つ」という感じで、もっと全体 を見渡し大きいところを攻めた方 が良いと思います」 近「加藤さんが打つ時に少しパソコン の碁盤から目を離して碁盤全体を 見回してみる。 とかく相手の石音がしたところに ばかり目がいくものですが、全体 をゆっくり見回してみると、いろ いろ大きいところが見えてくるも のです」 斉「今回はあまりコメントすることが 少なかったのですが、近藤六段上 手にフォローして下さい」 近「ではもうすこしコメントを続けま しょう。黒96は、せっかく黒94ま で左辺白をいじめているのだから 、それを継続した手を打ちたい。 白91の上に打ち白が91の右に打て ば黒は黒94の上にうつ。 それに対して白は白49の下に打た なくてはならない、といったふう にゴリゴリ打って白をいじめます 。 たぶんこの白は冷たい(死ぬ)でし ょう。白97、103はこのコンピュー タ君得意のサルスベリというヨセ です。これの止め方というのは、 初心者にとっては悩ましいところ です。”この場合”は白97の上、 白103の下に打つのが正着となり ます。 なぜなら白97の右に白が打ったと きに黒が白97の左に打ち、白97の 石が取れてしまうからです。 サルスベリのとめ方は回りの石の 配置により異なってくるのでちょ いと手を読んでやらなくてはなら ないです。 またこの道場でサルスベリの局面 が出てきたらコメントしたいと思 います。 白105、黒106などはヨセとしては 大きい手です。ただ、黒112などが また遊んだ手で、そのずっと前か ら私の目についている、15-14あた りへの着手を急ぎたいところです 。この1手で下辺黒地は大きくな り、右辺白の地の拡大も抑制でき て、この時点では大きい手だと思 います。 加藤さん、黒112と比べてどちらが 大きそうですか? 実戦は白119と、ついに白にこの付 近を先着されてしまいました。 この碁は黒18までの黒の打ち方が 3箇所で出てきたわけですが、まだ これらの黒の壁を加藤さんが生か しきったと言い難く、白55とシチ ョウを逃げ出された時点で既に黒 は苦しくなっています。 白61のまさに”最高級”の悪手に より黒62と白3子をヌイた。これが 特大で、最終的に黒20目勝ちの大 差につながった…って感じでしょ うか」 斉「コンピュータがパターンで打って くるなら、これ以上4子で打って も無駄のような気がしますがどう でしょうか? もう一度ぐらい4子でやって頂き 、次は3子ぐらいでは思いますが ?」 近「次から3子、でもいいのでは?と いう気がします。 2子でもいいかもしれないですね」 斉「という事で、加藤さん次は3子で よろしくお願いします」