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囲碁道場 初めての囲碁 加藤慎一編(2001年12月26日) 9目勝ち
斉「約一ヶ月のご無沙汰でした。 その間、加藤君に少し個人レッス ンをおこなっていました。 その成果は出ているでしょうか? 黒8とか黒12が今までと少し打ち方 が違いませんか?」 近「黒8は白3の石をやんわりハサんで 攻める意味ですね。 どうせ攻めるなら白3の右に打ち、 白が白3の石の下(14-4)に打たせて からはさむのが、よかったですね 。こうしたほうが白の根拠がなく なっていいです。 黒12は積極的なハサミですね」 斉「黒20は白21の方から当りすれば、 シチョウで取れています。 こちらの方が簡単だったのではな いでしょうか? 近「そうですね。斉藤さんの言うとお り白21の方からアテてやる。 シチョウは一度目で追って確認し てください」 斉「黒26もっと逃げ出した方が良かっ たのでは?この後、白の変な打ち 方で一応左下の黒は大丈夫になる のですが」 近「黒26はその一つ右に打つくらいで しょうか。実戦の黒26は逃げてい るうちには入らず、白37までの段 階で既に左下黒がピンチです。こ の黒を生きるのは2-15のところに 打てばいいのですが、白に封鎖さ れていること自体、よくないです 。『中央に頭を出せ」です』 斉「黒54ですが、ここでは16の三です よね」 近「黒54、ここは16-3の一手!実戦の 黒54ではこのあと白に本来なら15 -2に打たれてしまうでしょう (そのあと黒が16-2に打てばこれで も一応分断は可能ですが、損が大 きい) 加藤さんが黒54に打った意味…白 3と白53との分断ではないですか。 それなら16-3に打った方がはっき りしてます」 斉「黒68、黒70は結構良くありません か?」 近「黒68は大きい手ですね。ただし、 黒70はどうかな?左上の黒の一団 は黒68により比較的丈夫な石にな りました。そこへまた手をかけて る。 左辺の白地拡大を押さえている… という意味はありますが、まだそ れほど大きな手ではないですね。 『堅い石の周りは価値が低い』 それより盤を見回してみると、下 辺の白5子が孤立してますので、こ れを大きく攻めたほうが戦いの主 導権が握れます。一つの方法とし て、黒16-12、白17-12、黒16- 14、白17-15として下辺の白を丸 呑みするぞ、と白に脅しをかけ、 この白に動いてもらう、まだ初心 者的な加藤さんにはあるいはちょ っと難しいかも知れませんが、序 盤から中盤できちんと礎を作って おけばあとが打ちやすくなります 。こういった説明、『難しいな』 と感じるかも知れませんが、何度 も聞いて実戦を重ねるうちに少し づつわかってくると思います」 斉「しかし黒76はもうひとつ右、つま り黒56からケイマのところに打っ て欲しかったです。ケイマ好きの 加藤君がどうしたことでしょうか ?」 近「白71と下辺をふんわり連絡したよ うなスタイルにされて、黒として は着手が難しくなってきましたね 。これにより下辺から中央付近に 散在する黒石がすっかり弱くなっ てしまいました。 黒70が悪手の所以です。 そうなると黒72は左上黒模様拡大 、中央下の弱い黒石への声援…と いう意味でまあ、このあたりの着 点でしょうか。 黒76は上辺白を封鎖し、左上〜右 上にかけての黒模様形成を目指し ている手と思われます。 そういう意味で実戦どおりでも斉 藤さんの指摘の手でも似たような 気がします。ただ…私個人として はこれらの着手はぬるく感じます 。黒76は11-5へ打ち、白がその横 へ押さえたら、またその右へハサ ミツケってな具合です。加藤さん はまだマネしなくてもいいと思い ますが、これは五段を目指してい る(?)斉藤さんにちょっと検討し てほしいところです」 斉「黒96はどうかなって感じがします 。右下の白地を荒らしにいった方 が良かったような気がするんです が? あと、黒100は必要ありませんね」 近「黒96ではなく、やはり右下白地を 荒らしに行きたかったですね。た だ、中央左下の黒5子があるので あまり強引にもいけない。黒12− 10くらいに打っておくくらいです か…。白が受けたら黒74の上に出 て白その上に押さえたら、白41の 上に黒2子をアテる手も残ってまし て、右下白はみかけほど大きくな いです」 斉「黒126を打つなら、左の白19の方を 止めた方が絶対良いと思います。 こういう場合は一線より二線、二 線より三線と最初に考えるとわか りやすくありませんか? 最後に黒206と白石を取る必要はあ りません。これは自分の地に石を 入れているので損します」 近「黒126は確かに斉藤さんの言うとお りですね。ただ、それを言い出す と黒112は自分の陣地に意味もな く手を入れている、−1目の手で す。 黒126は後手2目ですので、黒112よ りは大きい!ただ、まだこの段階 ではこれらの手は小さすぎます。 ヨセについては言いたいことは山 のようにありますが、加藤さんが もっと強くなってからどっさりコ メントしたいと思います。まずは 序盤、中盤がたいせつです」 斉「近藤六段、今回の碁を全体的に見 るとどうでしょうか? 三連勝していることなので11級 に昇級してもらおうと思っている のですが?」 近「そうですね。いいのではないでし ょうか、11級で。 あと、コンピュータ君に降級して 欲しい気もしますが…」 斉「加藤君は11級に昇級とします。 コンピュータ君ですが、なんとか 検討してみますので、もうしばら くお待ちください(笑)」