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囲碁道場 初めての囲碁 加藤慎一編(2001年10月22日) 24目負け
斉「加藤君の第一弾です。 さっそくですが、布石の段階で黒 8、黒12、黒20はいずれも強い白石 を攻めている気がします。 強いというのは今の段階でという 意味ですが・・・ 周りを良く見回せばポツンと一つ ある白を攻めたり、何もない所を 打ったほうが良いのではないです か?」 近「加藤さんはケイマが好きなようで すね。でもここは斉藤さんのおっ しゃるとおり、黒8、10、12は悪手 でしょうね。『攻めはケイマ』な んて巷で言うようですが、この黒 8は白に全く響いてない。即ち白 は手抜き可能。黒6は守りの手、黒 8は模様の手、矛盾してますよね。 色々手はあるところでしょうが、 白7に対して三々(白7の左上)に受 けるか、模様を目指すなら黒17(白 17の場所)とはさんで白三々(白7の 左上)、黒17-5(白5の上)、白18-5 (白7の下)、黒16-7(白5の左)と いう進行が一般的な気がします。 黒12も『堅い石に近寄った手』と いうことで価値が低いです。 左上は黒4、10と手堅く受け比較的 堅い黒石なのにそこにまた手を加 えており、これまた白には響いて いないです。 左上の黒が心配ならば、白11の 後、黒3-2(黒10の上)と押さえ込ん でしまうのが分かりやすいでしょ う。これで黒は安泰です。 ちなみに黒10では黒8-3(白11の 左)とはさんでみたい気もします。 続いて白3-3(黒10の場所)、黒5-3 (黒3の左)、白5-2(白9の右)、黒 6-4(白3の下)となれば上辺が一 応模様化し、黒8の顔がちょっと は立つと思います。白11と二間に 開かれ、黒8が泣いてます。 黒20も黒8と同様の理由で、あまり お奨めできる手とはいえないよう ですね。 置き碁って、黒は形を決めて盤を 狭くするのがいいですし、白は形 を決めずに碁盤を手広くして置く のがいいのです。これもよく巷で 言われることですが。」 斉「黒22は白1が上に出てこれるので あまり意味がない。このように右 と左とか上と下とかいくつもの手 をかけないと地にならないところ は、あまり意味がないように思え るんですが・・・それよりも、黒22 では白23のところが絶対だと思い ます。こうやってやられると、仮 に生きたとしても、白は厚くなり ますよね」 近「よくわかんないんですけど、黒22 に白手抜き出来るんでしょうか? ??碁を並べていてびっくりしま した。白17の下にアテられるだけ で白は相当苦しい気がするのです が…。 アテではなく、黒に三々に守られ るだけでも白は後手活き(というよ り正確に打たれればこの白は死に ます、多分)を余儀なくされそうで 、こう黒石をがちがちに固められ てから右下黒に三々に守られると 右下白もいじめられそう、そうな ると自然に下辺が黒模様化するの では…封鎖されるのは良くなく、 中央に顔出せっていいますよね、 確かにその点で白23は大きいので すが、黒22に白手抜きっての が…」 斉「なるほど、白の手を抜けない場所 に打って、黒模様を広げるわけで すね。コメンテイターを近藤六段 に頼んで良かったです。僕なんか だと黒22は小さいと思ってしまう んですよね。 黒26はウーンという感じです。 白27でほぼ弱い白はなくなった」 近「黒26はここを切られるのを気にし たのでしょうが、それならば右上 三々にコスんで、この白をいたぶ れば自然に周りの黒は固まります 。心配いりませんよ加藤さん」 斉「黒30は6からケイマの位置では?や っぱり白31ときて、さっきの黒22 の意味がなくなりました」 近「黒30はもはや上辺に手を入れる気 はしませんね。堅い右上の黒石に 手を入れても仕方ないですし、上 辺白もほぼ生きのスタイルで攻め にもなってません。 先に示したように加藤さんは早く 右上の白をいじめて(または殺して )、右上黒を鉄壁にして右下三々 にコスみ右上の壁をバックに右下 の白をいじめて…という進行が良 いように思いますよ。 あと加藤さん、黒34は大悪手です よ、多分。ここは右上三々にコス んで白に逆に黒34の下にハネさせ る展開がいいでしょう。そうして ここに黒石がくれば右下白が傷み ます」 斉「今の近藤六段の言われた事をやさ しく言うとこうなります。右上の 白石をまず上から攻める。そうす ると白は生きる為に下を固めてく る。それに対して受けておけば、 自然と今自分が打った場所(黒34 あたり)に黒石が打つことが出来 る。そうすれば右下の白石が攻め やすくなる。こんな感じですか」 ここからは僕のコメントに対しても近 藤六段から厳しい(笑)コメントが登場 します。 斉「細かいことを言うと、黒40も生き ている石を攻めているし、黒56は かけつぎ。 黒64は切りに対する手ならすごい と思いますが、そこまで読んでい るのかな。大人しくつないだ方が 良かったのでは・・・」 近「斉藤さん、『黒40は活きてる石を 攻めてる』」って本当ですか?? 加藤さん、ここはチャンスでした よ。白41と白がそっぽを向いたの で、黒17-7(白17の上)ホウリコミ 、白トリ、黒16-6(白15の上)アテ で、あと白が18-3(黒40の右)と 伸びこんでも黒が押さえ込めば、 白は活きるスペースがないのが確 認できると思います(3目ナカテ)。 斉藤さん、黒56はなぜカケツギが よいのですか?実戦のとおりカタ ツギでも黒は活きてます。すると 、あとで白からのコウ材が増える 分、カケツギの方が悪いように思 えるのですが…。 黒58はいわゆる「あき3角」という 悪形です。加藤さん覚えといてく ださい。ここに手を入れるなら黒 52の2路上に一間トビ。でも、切っ ている両方の白が活きてるんで、 ちょっとつまんない気もしますね 。黒64では斉藤さんの言うように つないではあき三角のかたまりで 良くないです。 手を入れるなら白63の上にツケル のが形です。ただ、さっき言った ように既に切っている両側の白石 が活きてるんで切る意味がない、 黒3子は捨ててしまうのがいいと私 は思います」 斉「黒70は小さいですね。白87のとこ ろに先に打ちたかったですね。黒 110も小さいですね」 近「斉藤さん、ちょっと待って下さい …黒70は小さい???え?え?。 黒72のあと白手抜きしてますが、 捨石作戦?さっき書いたように加 藤さんにホウリこまれたらどうし ます?黒86ではやはり斉藤さんの 言うとおり、白87のところへ1子 をアテたいです。中央の黒が少し 強くなると同時に、いつの間にか 弱くなっている右下黒への援軍に もなるでしょう。 加藤さん、黒104ツギはダメです。 ここは断固、コウ争いしなくちゃ 。ここは加藤さんにとって花見コ ウ(負けても損害のないコウのこ と)なので、あちこちにあるコウ 材を使いましょう。ま、それより 、さっきから白の手抜きの続いて いる右上白を殺しちゃいましょう 。それで碁はおしまいです。 黒106、こんなとこでもさっきの コウ材として使えるんですよ。 黒110も小さく、ここは右下三々 が大きいです」 斉「白111、113で中央の黒がやばくな る事に気がついて欲しいですね」 近「そのとおり。ですから当然黒112 は白111に対してツグのが普通で しょう」 斉「黒116は必要ないですね。打たな くてもつながっている。ここは、 白111の上に打って欲しかったで す。黒118もそうです」 近「それよりも黒116の下に出て、白 押さえに対して白87の横にデギッ ちゃう。こんなのはどうでしょう か。切られた白の生還は難しいで すよ」 斉「白129で中央の黒は大ピンチです 。これはうまく逃げましたね」 近「白125のあと、黒30の下に加藤さん がコスんでいれば簡明でした」 斉「黒148も黒2からケイマで打って白 2目(139、141)を取るのと、下の 黒地を荒らすのを見合いにした方 が良かったのでは?」 近「それよりも白19の下に押さえ込み たいです。地としても小さくない しこれで完全に黒は活き型です。 がっちり活きておいて反撃の機会 をうかがう、これも立派な戦略で す」 斉「あと寄せでは先手がとれるところ から打ったほうが良いですね」 近「そうです。ヨセは先手の取れると ころを確実に打つ、重要です。ヨ セって軽視されるんだけど、私も 級の人なんかと打ってると、ヨセ だけで20〜30目くらい平気で縮ま ってしまう。私には面白いですが 、縮められてるほうはこわいです よ。 ヨセについての指摘は膨大になる ので、加藤さんがもう少し強くな ったらまた教えていきたいと思い ます」 斉「最後に今日の棋譜を見て、3点だけ を手短にアドバイスしてもらえま すか」 近「まず一点目、序盤の黒8,12,20の ケイマ3連打、これが甘かったです ね。 二点目は右上。加藤さん、これは 3手で死んでしまうので、ちょっと だけ手が読めれば勝ちでしたよ。 最後は、黒48から切った手は切っ た両側の白石が弱いときに有効。 両側白石が生きてると切った石は 既にカス石。カス石を捨てる勇気 も大事です」 斉「近藤六段ありがとうございました 。加藤君の棋譜もおもしろかった のですが、近藤六段のコメントも 大変おもしろかったです。『俺に 変われ』と言わんばかりの気迫が 伝わってきました。しかし、僕は 右上の白石の危険には全然気づき ませんでした。 ところで、加藤君の今の棋力です が、独断と偏見で12級とします 。次回の棋譜を楽しみにしていま す」